分割・併合
まず、分割です。これは必ず下り列車が行います。
![]() | ![]() | |
[1]分割準備中 | [2]分割開始 |
|
![]() |
|
[3]ジャンパ栓取り外し | [4]連結解除 |
|
![]() |
|
[5]回送開始 | [6]分割終了 |
[1]分割準備
さあ、11両編成(4+7)の普通列車が入線して来ました。これからこの列車は4分ほどここに停車し、分割作業を行います。
ただし、乗客を下ろしてそのまま分割するわけではありません。分割を行う際、電気系統を一旦切断する関係から、必ずここでドアを閉めておきます。
これと共に、分割部には助役さんと電車区の職員さん2人が行き、助役さんはホーム上で、職員さんのうち1人は回送する側の車両の運転台に入り、もう1人はホームで待機します。これで準備は完了です。
[2]分割開始
まず運転台に入った職員さんが車両の間の幌を開け、貫通扉を閉めます。
[3]ジャンパ栓取り外し
連結器を解除する前に、ジャンパ栓を取り外します。ジャンパ栓とは列車の連結部によくつながっている太いホースのことで、中に運転台から来る制禦信号やブレーキ信号、車内空調や照明のための電気を伝えるための電線がみっしりとつまった、簡単に言えば電気系統の連結器です。このジャンパ栓の先は雌(ホースなのに「栓」なのはこのため)になっており、車輛側についた「ジャンパ栓受」という先が雄になった受口へはめこんで使います。
この取り外しのためにホームで待機していた職員さんが編成の間に入り、相手のジャンパ栓受からジャンパ栓を外して折り曲げ格納した後、双方の編成の栓受の上のねじを金づちでたたいて強く締めます。
[4]連結解除
ジャンパ栓を外し終わると、いよいよ連結器を解除します。ここで助役さんが赤と緑の旗を持って登場、回送される編成の運転台にいる職員さんに指示を出します。動いては止め、止めては動かしと、慎重に両編成を離して行きます。
[5]回送開始
ある程度離れたところで、回送される編成は本格的に回送を始めます。そのまま進み、小山電車区に入る引込み線へ引っ込んで行きます。
残された7両編成側では、職員さんがジャンパの始末など後始末をしています。
[6]分割終了
これで分割作業は終了です。終了後、準備が出来次第ドアを再び開き、発車時刻を待って発車して行きます。
次に、併結を見てみましょう。こちらは分割とは反対に、必ず上り列車が行います。
![]() | ![]() | |
[1]併結準備 | [2]貫通扉開放 | |
![]() | ||
[3]増結用編成入線 | ||
![]() | ![]() | |
[4]増結用編成到着 | [5]併結開始 | |
![]() | ![]() | |
[6] ジャンパ栓連結 | [7]併結終了 |
[1]併結準備
今度は7両編成の普通列車が入線して来ました。分割の時と同様、これから4分ほどここに停車し、併結作業を行います。
分割と同様、必ずここでドアは閉められます。これと共に、併結部には助役さんと電車区の職員さん1人が行きます。
ここで職員さんは乗務員室に入らず、115系の前面部にあるステップに足をかけ、作業を円滑にするためにジャンパ栓受のねじをあらかじめ金づちでたたいて緩めておきます。
[2]貫通扉開放
[3]増結用編成入線
増結用の編成が入線して来ました。運転は電車区の職員さんによるものです。
この間に、貫通扉を開いた職員さんはホームの下にもぐり込み、連結に備えます。
[4]増結用編成到着
増結用の編成はそのままストレートに連結されるわけではなく、法律の規定に従い、直前で一定の距離を保って停止します。
[5]併結開始
ここから助役さんの出番となります。分割の時と同様、赤と緑の旗を持って指示を出します。これに従ってゆっくりと増結編成は前進、慎重に連結器同士を合わせ、連結します。なお、この間も職員さんは編成の間に入りっぱなし(写真でも助役さんの足許に保護帽が見える)で、身を張って双方の編成をガイドしたりしています。
[6]ジャンパ栓連結
連結器が無事結合すると、ホーム下に待機していた職員さんがジャンパ栓を連結し、栓受の上のねじをたたいて締めます。
さらに連結部の幌を外から閉めれば併結作業は終了です。
[7]併結終了
これで併結作業は終了です。終了後、準備が出来次第ドアを再び開き、発車時刻を待って発車して行きます。
ちなみに前に写っている青い服の人は増結用の編成を運転して来た職員さんです。
……いや、こうして見てみると、分割・併合というのもややこしいもんです。それに、併結作業で電車区の職員さんが編成の間に入って手で連結器をガイドしている場面などもあり、結構危ない作業でもあるようです。これを日常的にやっていたんですから、本当に頭が下がる話です。
なお、2000年12月の改正後は7両・8両・12両の運用が消滅したため、この分割・併合はほとんど見られなくなりました。残念です。
Copyright(C) Masaki Tomasawa.