富山軌道線電停めぐり


13.富山駅前 とやまえきまえ

所在地:富山市桜町1‐1

富山駅前電停全景(北側から望む)
デ8000形 1998.3.24

富山駅前電停全景(南側から望む)
デ7020 1999.3.11

電鉄富山駅駅ビル「エスタ」「マリエ」
2000.12.22

富山駅駅ビル「とやま特選館」
2000.12.22

 さて、ついに富山駅前です。いうまでもなく、県都富山の玄関口たるJR富山駅と、立山黒部への玄関口たる地鉄の電鉄富山駅があります。JR富山駅の駅ビルが東西に伸び、電鉄富山駅の駅ビル「エスタ」がその東端で直角に交わっています。右の写真で、右の方に写っているのが電鉄富山駅ビルで、ここには電鉄富山駅のほか地鉄資本のデパート「マリエ」や同じく地鉄資本のビジネスホテル「第一イン」があります。富山駅の方にも「ステーションデパート」があるんですが、はっきりいって「エスタ」に負けてます(汗)。そのせいか、2000年2月にリニューアルした際、「とやま特選館」というみやげ物屋専門のデパートになってしまったようです。
 電停はさきほどの「マリエ」の前にあり、駅の広場からいうと東端ということになります。あまり目立ちませんが、乗客の乗り降りは非常に激しいです。そのせいか電停は降車と乗車を分けていて、まず降ろしてから少し進んで乗せる、ということをやっています。
 あと、この電停では2本に1本の電車が折り返し、運行間隔が5分毎から10分毎になります。大学前から全線運行するもの(2系統)と、ここ富山駅前で折り返すもの(1系統)が交互に運転されているので、1本行っては1本折り返す、というようなことが行われています。
 なお1系統は平成9年から13年までの4年間、県庁前まで系統が延伸されていましたが、富山駅前〜県庁前間の距離がないこともあって、あまり輸送実績が芳しくなく、結局元の富山駅前折り返しに戻されたという経緯があります。

 次に、ここの電停の主役ともいうべき電鉄富山駅とJR富山駅について見てゆきましょう。
 まずは電鉄富山駅です。ここの駅は「エスタ」の1階部分の、一番富山駅寄りに入口があります。

電鉄富山駅入口
2000.12.22

電鉄富山駅改札口
1999.3.11

電鉄富山駅構内
2000.12.22

 ターミナルらしく、非常に広々とした構内をしています。
 入口を入ると左側手前に総合案内所があり、軌道線の一日乗車券や定期券が買えます。また、右側奥には北国独特の待合室があり、中に「越中そば」という立ち食いそば屋があります。ちなみに私はここの待合室の常連でして、急行「能登」で着いた後に必ずここで仮眠し、「越中そば」で朝食を食べることにしています。
 そして、正面に広い改札口があり、その向こうに3面4線の頭端式ホームが広がっています。右側から1〜4番線となっており、どれがどれとは特に決まってはいないようですが、概ね1・2番線が宇奈月本線、3・4番線が立山線・不二越上滝線となっているようです。
 また、4番線の壁際にはたくさんのサボがかけられています。

ホームの壁に掛かったサボ群
2000.12.22

 快速急行や特急をはじめ、普通列車のサボなどもあります。ただ、特急はともかく、普通列車のものについては現在の車両が全て電動幕完備なので、実際に使われることがあるのかどうかは定かではありません。おそらく予備でしょうが、もしかすると展示の意味合いもあるのかも知れません。
 ちなみに、右下の写真の右から2番目の列車の貫通路の窓に「普通 滑川」と書いた紙が置いてありますが、これは2000年12月改正で中滑川行だったものが滑川行に延長されたにもかかわらず、幕がなかったためにこうなったものです。

 次に、JR富山駅の構内について見て行きましょう。

富山駅改札口
2000.12.22

1・2番線
2000.12.22

4・5番線
2000.12.22

3番線(切り欠き部分)
2000.12.22

6番線
2000.12.23

7・8番線
2000.12.22

 こちらもまた、県庁所在地の駅らしく非常に大きな駅です。
 入口から入ると正面に大きな改札口があり、その後ろに4面8線のホームが広がっています。駅側から1〜8番線の名がついており、1番線、2〜4番線、5・6番線、7・8番線の4つのホームに分かれます。途中駅なので当然ながらほとんどのホームは通過式ですが、3番線だけは4番線の一番大阪寄りにホームを切り欠く形で設置されています。使用する路線は決まっており、1番線が北陸本線・高山本線など汎用、2・4番線は北陸本線上り(大阪方面)、3番線は高山本線、5・6番線は北陸本線下り(直江津方面)、7・8番線は富山港線となっています。
 このように非常に広い駅ですが、その割には実にシンプルな駅です。東京周辺の駅はごてごてといろいろなものがついていることが多いので、実に好ましく思います。
 ちなみに、2・4番線の階段下には、昔の名残と思われる古びた駅名表示が残っています。

階段下の駅名表示
2000.12.23

 恐らく昭和40年代からのものでしょう、ペンキがところどころはげてしまっていますが、独特のレタリング字体がいい雰囲気を出しています。旅先でこういうものをふっと見つけると、何ともうれしい気分にさせられます。

 このように、非常に好ましいところの多い富山駅ですが、北陸新幹線の開業でこういう今の状態がどうなるかが気になります。もっとも、金沢や福井と違って駅前がごちゃごちゃしていないので、高架化されることはないとは思いますが……。まあそれ以前に、あの新幹線についてはいつ開業するのやら全く分からん、という事情がありますので、少なくともあと数十年は大丈夫でしょうが。
 ちなみに、富山駅の発車チャイムは以前は「こきりこ節」をマイナーアレンジした非常に渋いリズムのもので、「旅情を誘う」と有名でした。私も大好きでして、いつも帰りに「能登」を待ちながら、うっとりとこのリズムに聴き入っていたほどでした。
 しかし、地元の人の中には「暗すぎやしないか」と意見もあったせいか、2000年の北陸本線CTC化に伴って他の駅と同じものにあっさりと替えられてしまいました。そのせいで、今じゃどこにでもあるようなリズムに……。
 それを知ったとき、ショックでしたね、正直。そして、現地で聞いてさらに愕然……。ああ〜、何でそんな軽いリズムになっちまったんだよ〜、うるうる(涙)。

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