クロスシートの様式(その1)
さて、外観が終わったら次は内装です。まずは、旅客に直接のサービスを行う座席について見て行きましょう。
伝統的な中距離電車である115系の座席にはクロスシートが圧倒的に多く、その多くは下のようなものです。
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クロスシート[1](一般的なタイプ) |
薄緑色の化粧板をバックに、灰色の枠と灰色ががった青色のモケットという寒色系でまとめられています。特に薄緑色の化粧板は103系などにも共通するので、いかにも「国鉄型」という印象を受ける方もいらっしゃるでしょう。このタイプは初期型ではないようですが、非常に古くから使われているもののようです。
ところが、そこは115系、座席ですらも1通りでは済みません。下にその例を挙げましょう。
・色と形
115系の座席には、上に挙げた灰色の枠に青色のタイプの他に、色違いがいくつかあります。
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クロスシート[2](茶色の枠に青色タイプ) |
クロスシート[3](茶色の枠に茶色のタイプ) |
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クロスシート[4](灰色の枠に茶色タイプ) |
クロスシート[5](茶色の枠に茶色のタイプ・旧式) |
[2]は茶色の床とベージュ色の化粧板に茶色の枠と灰色がかった青色のモケット、[3]は同じく茶色の床とベージュ色の化粧板に茶色の枠に茶色のモケット、[4]は薄緑色の化粧板に灰色の枠と茶色のモケットというタイプです。
この色違いは要するに車輛ごとにアコモ改善の時期が異なるために起こっています。しかし、このように細かいアコモ改善の情報などというものはあまり流れてこないのが実情なので、それぞれのタイプがいつ改造されたものかということはよく分かりません(大宮工場でも行けば分かるんだろうけど……)。さらに言えば、どの車輛にどのアコモが使われているか、ということもよく分かりません。
ただ、[2]や[3]は主に「特別保全工事」や「車体更新工事」の対象になっている車輛に多く、[4]は1000番代に多いものです。
なお、[5]は[3]の旧式のもので、一部の初期車にみられます。枠の部分の色が薄いことと角が補強してあることを除けば、大きな違いはそれほどありません。
この他、一部の初期車には初期のアコモがそのまま残っているものもあります。
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上野 2000.11.23 |
上で見る通り、この旧タイプでは普通のものと違って丸い手すりがついています。
これは昔はよく見られたものでしたが、アコモに手が入るに伴って現在の四角いタイプのものに取り替えられ、今ではクハ115-610・クハ115-130などでしか見られません。そのため非常に撮影しづらく、上の写真も2週間近くねばってやっと撮れたものだったりします。
また、ほとんど全ての座席をロングシートに乗せ替えているロングシート車にも、トイレのついた車輌の車端部、トイレの向こう側に1つだけクロスシートがついており、独特の様式を持っています。
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上野 2000.11.29 |
少し見づらいですが、ロングシートの色合いに合わせて茶色と赤の細かい斑点模様のモケットに替えられています。
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